副鼻腔炎(蓄膿症)の手術費用や入院期間、日帰り手術とは

副鼻腔炎(蓄膿症)が酷くなった場合、手術が必要になることがあります。
ここでは手術の内容と費用、入院期間についてお話します。

その前に、まずは副鼻腔炎についての簡単なおさらいから始めましょう。

副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎とはその名の通り副鼻腔という部位に炎症がおこり、膿が溜まる病気です。
副鼻腔は頭蓋内に広がるとても大きな空洞で、その範囲は額から口の上(上顎)にまで及びます。

また、副鼻腔は4つの部位に分かれており、上から

  • 前頭洞(ぜんとうどう)
  • 篩骨洞(しこつどう)
  • 上顎洞(じょうがくどう)
  • 蝶形洞(ちょうけいどう)

となっています。

副鼻腔炎全体の95%以上を占めるのが、鼻腔と副鼻腔をつないでいる「自然口」に直接つながっている「上顎洞」に膿が溜まっていく症状です。

これは

  • 風邪
  • インフルエンザ

などのウィルス感染症、または

  • アレルギー性鼻炎
  • 花粉症気管支喘息

などによって鼻腔粘膜に炎症が起こり、それが長期化して自然口に鼻茸(鼻ポリープ)が形成され、自然口をふさぎ上顎洞に溜まった膿が排泄されないことで起こります。

※自然口とは上顎洞に溜まった膿を鼻汁として排泄するための排泄路になります。

副鼻腔炎には急性と慢性があります!

急性副鼻腔炎とは主に風邪やインフルエンザなどの後にさらに真菌(カビの一種)や他の病原菌に感染することで強い炎症反応が起こり鼻づまりや鼻水を中心として色々な自覚症状をもたらす病気です。

慢性副鼻腔炎の90%以上は急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化することで起こります。

副鼻腔炎手術は

  • 重症化している場合
  • 抗生剤での治療での効果がない時
  • 原因が「真菌」によるものの場合

に適用される治療法です。

かつての副鼻腔炎手術は痛かった!!

(慢性)副鼻腔炎は「蓄膿症」とも呼ばれています。

かつて行われていたこの病気に対する手術は

  • 上唇の裏を大きく切開する
  • 顎の骨を削る

というような大掛かりなものでした。
ちょうど顔の筋肉をめくるようなイメージです。

もちろん全身麻酔で入院期間も長期間にわたり、広範囲に切開を行うので術後の感染症リスクも高く、ちゃんとものが食べられるようになるまでには退院後もリハビリが必要なほど予後の悪い手術です。
術後の創部痛も強く、かなりの大手術であることは間違いありません。

しかし、現代では「内視鏡手術」が開発され副鼻腔炎手術は大きな変革を遂げました。

現代の副鼻腔炎手術は痛くない!

前のパートでも書いたように現代の副鼻腔炎手術は内視鏡を使ったものが主流です。

内視鏡手術は鼻の穴から内視鏡を入れながら行うため

  • (通常は)局所麻酔での手術が可能になった:これは麻酔による侵襲(ダメージ)を大幅に減じるという大改革を意味しています。
  • 手術時間と入院期間が短くなった:内視鏡手術の場合麻酔の導入から手術が終わるまでおよそ一時間程度で済み、場合によっては日帰り手術も可能です。(通常でも3日程度の入院で済みます)
  • 予後がよくなった:予後とは治療後の経過のことです。

手術時間や入院に必要な期間が大幅に減ったことで、予後(手術後の状態)は飛躍的によくなりました。
切開も小切開で済むか、無切開で切除創だけになるので、ダウンタイム(以下のパートで詳しく説明します)も大幅に短くなっています。

内視鏡手術にも種類がある!

内視鏡種類には病態によって幾つかの手技に分類されていますので、ここでは手技ごとにどのような手術が行われるのかについて説明していきましょう。

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)

通常は局所麻酔で行われますが、副鼻腔炎の状態や患者さんの希望によっては全身麻酔で行われる場合もあります。

鼻の穴から内視鏡を入れ、鼻茸や病変部を取り除いていきます。
こうすることで自然口が広がり、鼻が本来持つ自浄機能が元の状態に近い程度まで回復します

現在では「マイクロデブリッター」という器具が開発され、手術時間がさらに短縮されています。
この装置はポリープや膿を取り除きながら吸引していくという電気カミソリのような器具です。

拡大前頭洞手術

副鼻腔の最上部にある部位で額から鼻の上にかけて広がる部分が「前頭洞」です。

この部分に炎症が起こると眼痛や頭痛が起こることがあります。

前頭洞も鼻腔とダイレクトにつながっているので炎症が強い場合には内視鏡手術が可能です。
ただし、症例としてはあまり多くありません。

日常生活に復帰するまで(入院期間など)

手術の内容は上記のように1種類ではありません。
しかし、手術が異なっても術後の経過(予後)はほとんど変わりません。

手術当日には止血用のガーゼが詰められているので、鼻呼吸はほぼ困難です。
2~3日たっても止血しない場合は止血処置と安静が必要です。
そのため、内視鏡手術でも3日ほどの入院期間を設けているのが一般的です。

飲食の際に口を動かすと、痛みを感じる場合があるので、止血までの間は柔らかいものを中心とした食事を心がけるようにします。

それ以外は日常的な生活を送ることが可能です。

1週間ほど経過して、術後の感染創部の癒着などが確認されなければそれで治療は終わりとなります。

ただし、副鼻腔炎は再発リスクのある病気なので手術の適用は医師とよく相談の上決めるようにしてください。

費用はどれくらい??

手術費用としては、手術費用のほかに麻酔費用や入院代、検査費用がかかりますが、合計で25~30万くらいかかるといわれています。

鼻水が黄色や緑色、オレンジ色や赤色になる原因とは?

鼻水に色がつく理由とは?

鼻をかんではすぐティッシュを捨ててしまうので、あまり注意深く鼻水を観察したことが無いかもしれません。

しかしながら、時に「あれ?かなり黄色いな・・・・」と思うこともあるかと思います。

このように、鼻水の色には健康に関する重大な情報が含まれているので、できれば注意してみておいた方がよいでしょう。

ここでは、なぜ鼻水に色が付くのか?を解説します。

主な鼻水の色

鼻水には主に以下のような色があります。

・透明

・黄色

・緑色

・赤色

透明以外の色はその時の体調によって微妙に混ざり合うことがあるので「オレンジ色」や「うぐいす色」のような複雑な色をしている時もあります。

本来の鼻水は鼻腔粘膜から分泌される液体なので透明です。
熱いものを食べた時に出てくる鼻水は、鼻腔から副鼻腔、そして上気道の鼻腔側を保護するために出てくる生理的なものなので透明です。
またアレルギー性鼻炎や花粉症で出てくる鼻水も、特に感染を起こしているわけでは無いので透明です。
このように透明な鼻水でも、アレルギーが原因の場合は病的なものになりますが、「色」のついている鼻水はさらに注意が必要です。

何が原因で鼻水に色がつく?

鼻水に色がつく原因について考えてみましょう。

■「黄色」や「緑色」の鼻水の場合
ウィルスや真菌(カビの一種)などの病原菌に感染し炎症を起こしている証拠

■「赤色」の鼻水の場合
鼻出血を起こしている証拠

■「オレンジ色」や「うぐいす色」の鼻水の場合
感染症+鼻出血が起こっている証拠

一般的には以上の通りとなります。

黄色から緑に変わった鼻水には要注意!

「黄色」と「緑色」の鼻水が出た場合は、感染症による炎症からくるものだということは上記の説明の通りです。

ただし、透明な鼻水でも感染症の初期では色は付きませんので、「喉が痛い」、「熱っぽい」、「咳が出る」、「体がだるい」などの異常を感じている場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

感染症は拡大防止のためにも、初期の段階で治療する事が非常に重要な意味を持ちます。

少し話が横道に逸れたので「色のついた鼻水」に戻しましょう。

「黄色」の鼻水の場合!

鼻水の色が「黄色」の場合は感染症を起こしている証拠ですが、同時に免疫系が機能している証拠でもあります。
というのも「黄色」の色の大半は白血球の死骸だからです。

白血球とは免疫系の最前線で働く免疫細胞で、マクロファージや好酸球、好中球、などいろいろな呼び名があります。
これは白血球の種類を表したものでまた後ほど詳しく説明します。

白血球は病原菌を見つけたら自分自身の中に取り込み、その病原菌ごと自滅して菌を殺してしまいます(好中球、単球、マクロファージの場合)。

人の体には特定の病原菌に対抗するための専門的な攻撃隊の「抗体」があるのですが、この「抗体」が作られるまでの間無作為に病原菌などの異物に攻撃を仕掛けるのが白血球の役割です。

したがって乳白色〜黄色っぽい色の鼻水には仕事を終えた白血球の死骸が沢山含まれているのです。

「緑色」の鼻水の場合!

一方で鼻水の色が「緑色」の場合は「黄色」の時よりもさらに深刻な事態に陥っています。
なぜなら免疫系が、感染の拡大に追いついていないことを示しているからです。

「緑色」は感染からくる炎症が強まり、膿が沢山出ていることを示しているのです。
鼻水は鼻腔から副鼻腔にかけて分泌される粘膜液なので、この場合は「鼻腔炎」あるいは「副鼻腔炎」を起こしていることが強く疑われることになります。

白血球の種類について!

ここで一旦白血球の種類について説明しましょう。
白血球には以下のような名称があります。

■顆粒球
白血球の約半数を占める細胞です。
顆粒球はさらに「好中球」「好酸球」「好塩基球」に分類されますので、後ほど説明します。

■リンパ球
リンパ液に含まれる白血球で、胸腺に達し成熟したものが「T-リンパ球」、胸腺を通らないで成熟したものを「B-リンパ球」と言います。
リンパ球のおよそ75%が「T-リンパ球」になります。

■単球
上記以外の白血球です。
単球は好中球に次いで侵入してきた異物を貪食(異物と認定されたものなら無作為に取り込む能力)する作用の強い白血球です。

■マクロファージ
単球が血液から細胞に入り込み、細胞内にいる異物を処理する時の名称です。

顆粒球の種類について

白血球には以上のとおり4種類ありますが、このうち「顆粒球」は以下の3つに分けられます。

■好中球
顆粒球の大半を占める血球細胞で、細菌などの異物を駆逐するための中心的な役割を担っています。異物に突進して攻撃する「遊走能」とその場に留まって異物を処理する「貪食能」とがあります。

■好酸球
特殊なたんぱくを放出して寄生虫や虫卵を処理する顆粒球です。
しかし、喘息や薬物アレルギーなどのアレルギー反応を誘発する物質でもあります。

■好塩基球
粘膜に取り付いた異物を処理するための顆粒球で、ヒスタミン、ロイコトリエン、ヘパリンなどを含んでいます。
「ヒスタミン」という物質の存在からもわかるように鼻炎や花粉症、アレルギー性鼻炎は好塩基球の過剰分泌が原因と考えられています。
(抗ヒスタミン剤は好塩基球の過剰分泌を抑制する薬です)

まとめ ~鼻水に色が付くという事!~

このように、鼻水から風邪や蓄膿症といった病気を発見できる可能性があります。
鼻の調子が悪いなぁ、という場合は、まず鼻水の状況を確認してみましょう。

鼻水が黄色や緑の場合、蓄膿症の漢方として有名な「ケイガイレンギョウトウ」を試されてもいいかもしれません。

難病「好酸球性副鼻腔炎」とは何?診断基準や治療、薬、症状

好酸球性副鼻腔炎とは?

好酸球性副鼻腔炎は現在国によって難病に指定されている病気の一つです。
病気の概要としては、鼻腔内の両側に多数の鼻茸(鼻ポリープ)ができ、手術をしてもすぐに再発してまう「難治性の慢性副鼻腔炎」です。

特徴は?

最初は慢性副鼻腔炎の通常治療を行うのですが、マクロライド系抗生剤投与や手術では効果はなく、ステロイド内服薬を投与すると症状が軽快するという特徴があります。
ただし、ステロイド内服薬では完治するということはないので、難病指定を受けている病気です。

一度発症すると、症状に合わせてステロイド内服薬の量を調整しながら服薬を続けなければなりません
特に風邪やインフルエンザの流行期に途中で中止や中断してしまうと、細菌感染をきっかけとして鼻茸が再発し、さらに症状が悪化しやすい傾向があります。

※風邪やインフルエンザの流行期以外の場合は、鼻茸の状態が落ち着くと一旦ステロイドを中断し、また流行期の直前から投与を開始するというのが一般的な治療法になります。

好酸球性副鼻腔炎の症状とは?

水ぶくれ状の鼻茸が鼻の両側に多発的に出来るというのが最大の特徴です。

また、喘息やアレルギー性鼻炎、花粉症など鼻粘膜に炎症を起こす基礎疾患があった場合もその刺激によって罹患リスク(病気にかかる可能性)は上がります。

好酸球性副鼻腔炎の原因とは?

気管支喘息や薬剤性喘息(アスピリンなどの解熱剤の副作用で気管支が狭窄して発病する病気です。)を基礎疾患に持っている人がかかりやすい病気です。

喘息があるから好酸球数が上昇するのか、あるいはその逆なのか、詳しい因果関係は不明ですが、好酸球性副鼻腔炎を発症している人の調査では

・喘息が先の人
・好酸球増加症が先の人
・両方の病気が同時発生の人

がほぼ同じ割合を示しています。

このことからも、気管支喘息や薬剤性喘息と好酸球増加症がこの病気の原因疾患であることは疑いようのない事実でしょう。

また、こうした基礎疾患を持っている人が風邪やインフルエンザにかかると発症リスクが一気に上昇するので風邪やインフルエンザが流行するシーズンは要注意です。
今のところ、「全身性の呼吸器疾患である」ということ以外の詳細は判明していない原因不明の疾患です。

全身性の呼吸器疾患の意味

上で出てきた「全身性○○疾患」とは、全身のどこかで不調が起こると特定の場所にも影響が出るという意味です。

したがってこの場合の「全身性呼吸器疾患」という意味は

身体のどこかで好酸球が上昇すると、その影響で呼吸器に不具合が出る

という意味になります。

好酸球性副鼻腔炎は

・症状が出る場所が鼻腔から副鼻腔にかけて
・原因疾患として「喘息」と「好酸球増加症」とがある

ことから、

体のどこかで好酸球が上昇する ⇒ 喘息発作が起こりやすくなる ⇒ 好酸球性副鼻腔炎が起こりやすくなる

という流れになります。

好酸球性副鼻腔炎の治療法とは?

この病気の確定診断後には幾つかの段階的な治療法が適用されます。
それは以下の通りです。

■色のついた鼻汁が出ている場合は感染症の存在が疑われるため、抗生剤が投与されます。
クラリスやエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質がメイン

■感染症が落ち着き、鼻汁が透明になったらステロイド内服薬の投与を開始ます。
プレドニン、セレスタミン

■ステロイドは約3ヶ月、減量を行いながら投与を続けます。

■一旦寛解(治療が不要となるまで改善すること)が認められたら投与は中止します。

しかし、再発率の高い病気なので、再発後は再び上記の投薬治療が繰り返されることになります